ビルドアップとは髪の毛にシリコンが蓄積された状態です。ビルドアップを被膜毛と言うこともあります。
インバス・アウトバストリートメントに配合されているシリコンは、髪にツヤと滑らかさを出しそれを保つため、髪に吸着をさせます。
しかし、シャンプーの洗い方やすすぎ方が正しくないと、吸着したシリコンが髪の毛に蓄積されます。
場所により蓄積量が異なり、凹凸ができると、髪が光を反射しにくくなり艶がなくなって見えます。手触りはごわつき、纏まりが悪くバサバサになるなどのトラブルを引き起こします。
こちらの記事では、ビルドアップ(被膜毛)の原因、防ぎ方、除去方法を解説していきます。
シリコンが髪に蓄積するビルドアップ(被膜毛)とは?

ビルドアップとは、シャンプーやトリートメントに配合されているシリコンのコーティング剤などが、シャンプーで落とし切れずに髪の表面に蓄積された状態を言います。
髪の毛を膜のように覆っている状態のため被膜毛とも呼んでいます。
シリコンは油と近い性質とテクスチャを持つ高分子な成分で、シャンプーやスタイリング剤の質感を整えるために配合される添加剤の1つです。
油に溶けやすいので、ヘアオイルなどとの相性がとても良いです。
シリコンが髪の表面に滑らかで目に見えない「薄い膜=被膜」を作ることで、髪のキューティクルを守り、髪に艶を出したり、ツルツルと指通りを良くし、髪の水分の蒸発も防ぎます。
リンス、コンディショナー、トリートメントには配合されていることがほとんどです。
ただ注意すべき点として、ビルドアップの原因はシリコンだけでなく、スタイリング剤に含まれる合成ポリマーや、乾かしきれなかったアウトバストリートメントの油分、さらには水道水のカルシウムイオンなどが絡み合っていることが多いです。
髪のバサバサ・ゴワゴワ・べとつき...原因はビルドアップかも...

シリコンが重なって蓄積し、被膜が厚くなります。これがビルドアップ(被膜毛)により発生する髪のゴワゴワです。被膜毛が厚くなると、髪自体が太くなるので、髪は必然的に広がります。
シリコンの蓄積は凹凸を作り、光の反射が弱くなるため髪の艶が失われます。凹凸が酷いと、髪がざらざら、バサバサになります。
シリコンは油と近い性質とテクスチャを持つ高分子な成分のため、ビルドアップすると「べとつき」も生じます。
その結果、髪が乾きにくくなります。また、ヘアカラーを入れるにもキューティクルが開かないため、カラーの入りも悪くなります。
このように、ビルドアップ(被膜毛)はいいことがありません。
「シャンプーの効果がなくなった」のはビルドアップが原因かも...
普段使っているシャンプーが、急に効かなくなったと感じたことはありませんか?
「感動したのは最初だけ」「使い続けるうちに髪が重くなってきた」という現象は、ビルドアップが原因の可能性があります。
シリコン自体は決して悪い成分ではありませんが、大切なのは「髪質との相性」です。
実は、シャンプーに含まれるシリコンの種類や配合量は商品によって千差万別です。成分表では1%未満の成分は順不同で記載されるため、正確な配合量を読み解くのはプロでも容易ではありません。
特に、他のコンディショニング成分(補修成分など)を抑え、シリコンによる手触りの良さに依存している商品は注意が必要です。過剰なコーティングが層になって重なり、ビルドアップを引き起こすリスクが高まります。
膜が厚くなりすぎた髪は、トリートメントの栄養分を弾いてしまい、結果として「効果がなくなった」と感じてしまうのです。
ビルドアップと髪のダメージの違いとは?
ビルドアップによる髪のゴワつきは、髪の表面に余分なコーティング剤が蓄積して指通りが悪く、ベタつきを伴い、髪が重くしなやかさが少ないのが特徴です。
一方、ダメージによるゴワつきは、キューティクルの損傷や内部のタンパク質流出が原因で、乾燥してパサつき、軽い質感になります。
| 髪の状態 | 症状・質感 | 原因 |
| ビルドアップ | べたつきを伴うゴワつき 重い質感に |
コーティング剤などの蓄積 |
| ダメージ | パサつきやゴワつき 軽い質感に |
キューティクルの損傷 タンパク質の流出 |
ビルドアップを除去すると本来受けているダメージが浮き彫りになり、髪がきしんだり引っ掛かりを感じることがありますが、これは髪がリセットされた証拠で、新たにダメージを受けたわけではありません。
ビルドアップ(被膜毛)になる4つの原因とは?

ビルドアップの原因はさまざま要因が重なって引き起こります。主な原因は4つです。
- 使用するシリコンの量が多い
- 髪質とシリコンが合わない
- シャンプーの洗浄力が弱い
- すすぎが足りない
ビルドアップの原因を詳しくみていきましょう。
使用するシリコン量が多すぎる
シャンプーやトリートメント以外でも毎朝使うスタイリング剤やヘアオイル、洗い流さないトリートメントなどにもシリコンが含まれています。
日常的に使い続けるとシリコンが蓄積されビルドアップの原因になります。
コンディショナーよりもトリートメントの方がシリコン以外のコンディショニング成分が配合されている場合が多いため、コンディショナーよりトリートメントを使う方が良いです。
ただし、注意点もあります。名称が「トリートメント」となっていても、実際には補修成分はごく微量で、手触りの良さをシリコンのコーティング力だけに頼っている商品が存在します。
日本の成分表示のルールでは、たとえ1滴に満たないような微量の配合であっても、その成分のメリットを大々的にうたうことができてしまいます。
それを見破るのは、経験が豊富な化粧品処方開発者レベルでも100%完璧に見破ることはできません。数ある化粧品関連の資格保持者でも難しいでしょう。
成分表に魅力的な成分が並んでいても、実はシリコンによる「見せかけのツヤ」である可能性があることを知っておくことが大切です。
ノンシリコンのヘアオイルはリファロックオイルがおすすめです。
詳しくは「リファロックオイルはどれがいい?」の記事をご覧ください。 続きを見る

リファ(Refa)ロックオイル4種類はどれがいい?ライトとブルームの違い・匂いや口コミを使ってみて比較徹底レビュー!
髪質と主成分のシリコンが合っていない
コンディショナーやトリートメントを使うときに、どのシリコンがもっとも多く配合されているかを確認する必要があります。
| シリコンの種類 | 効果と特徴の傾向性 |
| ジメチルシリコーン | ジメチコンなどで分子量の大きさで、サラサラ感があるものからしっとりと重い質感まである。 |
| 揮発性シリコーン | シクロペンタシロキサンなどサラサラで軽いテクスチャに仕上がる。他の成分との混ざりを良くするためにも使われる。 |
| アミノ変性シリコーン | アモジメチコンなどでカチオン化して毛髪に吸着されやすくしたシリコン。纏まりやすいのが特徴ですが、落としにくい。 |
| ポリエーテル変性シリコーン | ジメチコンに界面活性剤をくっつけており、髪に馴染みやすく、落としやすい。ゴワツキやベトツキもしにくい。 |
代表的なシリコンは「ジメチコン」や「ジメチコノール」があります。
ジメチコンは安価で髪のさらさら効果が出やすい成分です。髪に痛み少なく、普通~太めの方であれば合いやすいです。
ジメチコンを主成分とし、髪に重さを出して毛先まで滑らかにしようとすると、ジメチコンの量を増やすか、重いジメチコン(ジメチコンにも種類がある)を入れたりします。
髪に痛みがあったり、少し軽さを出したい場合は、吸着しやすいジメチコノールなどを採用し、ジメチコンとの配合バランスを調整したり、より重さを出したい場合は「アモジメチコン」を配合量して重さを与えます。「アモジメチコン」は「ジメチコン」より少量でも重さが出てしっとりしますが、原料の価格が高価です。
髪が細い方の場合、重いジメチコンやアモジメチコンがしっかり入っている場合、重すぎてしまいべとつくことがあります。落ちにくい特徴があるので、ビルドアップしやすい成分です。
以上のように、シリコンには様々な種類がある上に、髪との相性もあり、更には成分表を見ただけではどのくらいの配合量かも分かりません。
シャンプーの洗浄力が弱すぎる
巷では髪の毛と頭皮に優しいアミノ酸系のシャンプーが多く販売されています。
アミノ酸系シャンプーは洗浄力が弱いため、髪の毛と頭皮に優しい反面、髪に付着しているシリコンを充分に落としきれない可能性があります。
蓄積したシリコンは、洗浄力が強いシャンプーで落とせますが、アミノ酸シャンプーでを使うとシリコンが残ってしまうので、長め時間でシャンプーを行い、しっかりとすすぎをすることが大切です。
すすぎが足りていない

髪トラブルはシャンプーの際のすすぎ不足が原因になることが多くあります。
ビルドアップの原因はシリコンだけでなく、スタイリング剤に含まれる合成ポリマーや、乾かしきれなかったアウトバストリートメントの油分も原因になりますが、シャンプーのすすぎが足りないと、これらの成分が落としきれないことがあります。
すすぎは「シャンプーするより大事」と言われるほど重要なことと言えます。
すすぎ不足によるデメリットは以下の通りです。
| 部位 | 主なデメリット | 症状・現象 |
| 頭皮 | 炎症・肌トラブル | かゆみ、赤み、フケ、ニキビ(湿疹) |
| ニオイの発生 | 残った成分が酸化し、不快な脂臭さを放つ | |
| 抜け毛・細毛 | 毛穴が詰まり、髪の成長環境が悪化する | |
| 髪の毛 | ビルドアップ | コーティング剤の蓄積で髪が重く、ベタつく |
| ダメージ・乾燥 | 洗浄成分が残るとキューティクルに負担がかかる | |
| 仕上がりの悪化 | 髪が乾きにくくなり、ツヤや弾力が失われる |
トリートメントはサッと流したほうが、髪に成分が残って良さそうと思われがちですが、それは間違いです。
しっかりすすぎをしないと、シャンプーやトリートメント成分が髪に残り、ビルドアップや、ダメージ、ニオイなど様々なトラブルを引き起こします。
ビルドアップ(被膜毛)の5つの症状とは

ビルドアップになると髪に悪影響を及ぼします。症状は以下の通りです。
ビルドアップの症状
- 髪がべとつく(ドライヤーも乾きにくい)
- 髪に艶がなくなる
- 髪が広がる
- 髪がごわごわする
- ヘアカラーが入りにくくなる
主な症状を見ていきましょう。
髪がべとつく

シリコンは油性成分のため、ビルドアップになると油分が髪に蓄積されている状態となり、髪にべとつきが出やすくなる可能性があります。
シャンプーした後も髪に油分が残った状態になるため、ドライヤーでも乾きにくくなります。
もしシャンプーを変えたら髪がべとつきだしたと感じる人は、ビルドアップが原因の可能性があります。
しかしシャンプーを変えたときの髪のべとつきの原因は複数あるので、言い切ることはできませんが、ビルドアップの可能性はあります。
シャンプーと髪のべとつきの原因の関係はこちらの記事をご覧ください。
髪に艶が無くなる
髪に蓄積したシリコンが凹凸を作り、光を反射しにくくなるため、髪に艶が無くなったように見えます。
ガラスや鏡など平らな面がキレイにあると光を反射するのと同様です。
髪にシリコンが付着し続けることでキューティクルが乱れ、髪の表面がデコボコになり結果艶がなくなるという事もあります。
髪が広がる
艶がなくなるのと同様、髪にシリコンが蓄積され太くなり、凹凸のせいで整頓されていない状態のため、髪にまとまりがなくなり、広がりやすくなります。
特にくせ毛の人はさらに髪の状態が悪化するかもしれません。
また、髪の毛が乾きにくくなるため、一部湿った状態で放置することもあり得るため、乾ききらない髪の毛が広がってしまいます。
髪がバサバサ・ゴワゴワする
髪の毛に微妙な凹凸があれば、確実に手触りを悪くします。
これがゴワゴワの最大の原因です。
また、シリコンが付着した状態はいわば油が髪に付着し続けるのと同じであり、油で髪の毛がカチカチにコーティングされている状態だと、シャンプーやトリートメントのヘアケア成分も髪の毛に浸透しないでしょう。
髪表面の凹凸に加え、トリートメント成分まで弾いてしまう結果、髪がゴワゴワした状態になってしまいます。
ヘアカラーが入りにくくなる
ヘアカラーを入れるにもキューティクルが開きにくいため、カラーの入りも悪くなります。
ヘアカラーは、キューティクルを開かせて、髪内部から染めていくため、キューティクルの密度がしっかりとしている髪には色が入りにくくなります。
ビルドアップされたシリコンは、良くも悪くも強力にそれを整えて蓋をしているため、ヘアカラーが入りにくくなります。
ヘアカラー前には、シリコンを除去するシャンプーで、しっかりとシリコンを落とす必要があります。
ビルドアップ(被膜毛)の治し方【5つの除去方法】

髪にさまざまな症状を引き起こすビルドアップですが、除去するには主に下記の5つの方法があります。
ビルドアップ対策
- 炭酸シャンプーを使う
- 洗浄力が高いシャンプーで洗う
- すすぎ方をみなおす
- 重曹を活用する
- シリコン以外のコンディショニング成分がしっかり入っているアイテムを選ぶ
どうすれば改善できるのでしょうか。対処法を解説していきます。
炭酸シャンプーを使用する
炭酸シャンプーとは、通常の洗浄成分のシャンプーに炭酸ガスが含まれており、汚れを浮かせる効果がある炭酸が含まれたきめ細やかな泡が、髪や地肌を包み込みスッキリ洗い上げます。
洗浄力が強い界面活性剤のシャンプーは髪の毛や頭皮を痛める可能性がありますが、炭酸が含まれるとマイルドな洗浄成分でも、洗浄力がアップし、優しさをある程度保ちながらもキレイに洗浄することができます。
特にビルドアップ(被膜毛)には有効で、髪の毛に蓄積されたシリコンをキレイさっぱり落としてくれます。
炭酸は毛穴の汚れや余分な皮脂も落としてくれるので、普段使っているシャンプーと炭酸シャンプーを使い分けするのがおすすめです。
炭酸シャンプーの効果・デメリットはこちらの記事で解説しています。
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洗浄力が高いシャンプーで洗う
ビルドアップは髪に付着したシリコンが落ちきらず、蓄積している状態です。
しっかり髪の汚れとシリコンを落とすには、洗浄力の高い高級アルコール系のシャンプーを使うことです。
代表的な洗浄成分は、ラウレス硫酸Naやラウリル硫酸Naですが、洗浄力がとても強いため、注意は必要です。これらの洗浄成分に慣れていないと、髪は広がりパサつきを感じるようになります。
同じ高級アルコール系の洗浄成分で「オレフィン(C14-16)スルホン酸Na」という成分があり、ラウレス硫酸Naやラウリル硫酸Naよりは洗浄力が弱いので、おすすめです。
すすぎの方法を見直す
すすぎは洗髪する際に最も丁寧に行う必要がある重要な工程です。
シャンプーやトリートメント後はいつもよりすすぎの時間を長くしてみましょう。
さらにシャワーヘッドを地肌に当てながら洗い流したり、専用のブラシでブラッシングしたりするのも効果的です。
重曹を活用する
重曹を使ったビルドアップ除去は可能です。
重曹をぬるま湯で溶かしてペースト状にし、頭皮にマッサージしながらすり込む方法や、シャンプーに重曹を混ぜて使用する重曹シャンプーが有効です。
重曹は蓄積したシリコンを捕まえて取り去る効果があります。
ただし、重要を使うと、髪がアルカリ性に傾き、健康な髪を保つのに必要な皮脂膜を過剰に洗い流してしまうため、パサパサになる可能性が高いです。
重曹は明らかにビルドアップがひどいときに使うものと考えておいた方が良いです。
シリコン以外のコンディショニング成分もしっかり入ってるものを選ぶ
髪のサラサラ・つやつやを「シリコン頼りにしない」ことは大事です。
シリコン以外に、シリコンの役割を担うコンディショニング成分が入っている商品があります。
シリコン代替成分はほとんどが油性のものですが、シリコンとは性質が異なりべとつきが少なく、ビルドアップの心配もありません。
また、シリコンの中でも、アミノ変形シリコンと呼ばれるアミノプロピルジメチコンや、乳化能力を兼ねそろえたポリシリコーンなどは、コンディショニング効果に優れながらも、ビルドアップも起こりにくい成分になります。
ビルドアップの原因と除去方法のまとめ
ビルドアップとは何か、原因と詳しい対処法を解説しました。
ビルドアップは髪がダメージしている状態です。
普段使っているヘアケア製品は正しく使用しないと髪のダメージの原因になります。
もし髪の調子がおかしいなと感じたら、ビルドアップが原因かもしれません。
この記事を読んで、ビルドアップしない美しい髪を保ちましょう。
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